大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)1310 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人川見公直の上告理由第一の(一)について。

原判決は、挙示の証拠等を綜合して、上告人Aは昭和二九年一〇月一〇日頃その

所有に係る本件不動産を担保として被上告人らから三〇万円宛合計六〇万円を弁済

期を同年一一月一五日と定めて借り受け、弁済期にこれを返済しないときは、右不

動産の所有権は代物弁済として当然被上告人らに移転し、上告人Aは被上告人らの

請求次第これを明け渡すことを約し、本件不動産につき被上告人らのため停止条件

付代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記を完了したことを認定した上、

仮に上告人ら主張のとおり本件債務に利息をつける約定があり、訴外Dが被上告人

らの代理人として上告人ら主張の日までの約定利息の支払を上告人らから受けて本

件債務の支払を猶予したとしても、この一事によつて前記停止条件付代物弁済契約

が無効となるものではなく、上告人Aが約定利息の支払をもしなくなつた昭和三〇

年二月六日本件不動産の所有権は代物弁済により被上告人らに移転したものである

旨説示している。

しかし、上告人らは原審において、本件貸借のさい利息二万四〇〇〇円を天引さ

れたほか上告人Aは被上告人らに対し昭和二九年一〇月一四日から昭和三〇年一月

一六日までの間八五回にわたり合計六万八〇〇〇円を日掛して昭和三〇年二月五日

までの本件貸金の利息を支払つた旨主張している(乙第一、第五号証によれば右弁

済の事実がうかがえなくはない)のであつて、右は上告人らにおいて本件貸金につ

き弁済猶予の合意があつた旨の主張を含むものと解する余地がないでもなく、もし

弁済猶予の主張があつたとすれば、はたしていつまで猶予されたものであるか、原

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判示のように上告人Aにおいて約定利息の支払を怠つた場合には当然に本件不動産

の所有権は代物弁済により被上告人らに移転する旨の約定があらためてなされたも

のであるか否かによつて、本件の結論を異にするものといわなければならない。し

かるに、原審は漫然として、前述のとおり、上告人Aが約定利息の支払をもしなく

なつた昭和三〇年二月六日本件不動産の所有権は代物弁済により被上告人らに移転

した旨説示したのは、審理不尽、理由不備の違法があり、所論はこの点において理

由があるというべきである。

よつて、その余の論点について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、な

お右の点について審理の必要があるから、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の

一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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